高齢者の心理

高齢者や認知症の介護と障がい者や難病患者を支援する情報をご紹介します。

これまで、一般的な高齢者の心理についてご説明しました。今回は、介護を必要とする段階に至った高齢者の心理的特長についてお話しします。

1.介護を必要とする高齢者の心理的特徴
身体の機能が不自由になるにつれ、他人、特に家族に対して依存する傾向が高まります。言い換えると、「介護されるのが当然」と思い込んでしまう高齢者が多いのです。

しかしながら、他人の介護なしでは生活できないことを自覚すると、みるみる自信を失い、不安や不満が生じやすくなります。

いわゆる「寝たきり」になる心理的要因は、「意欲の減退」が原因と言えます。つまり、高齢者自身が、「自分の健康状態を維持しよう」とか、「自分のことは他人に頼らず、自分でやろう」という意欲を失ってしまうのです。

この意欲の減退が始まると、家に閉じこもり、社会との付き合いが途絶える。運動不足から身体の機能不全を招き、寝たきりになるリスクが高まります。

このような状態は、孤独感となり、さらに絶望感に変わります。生きる気力を失うと心身機能の低下がますます進みます。

2.認知症高齢者の心理的特徴
一般に、高齢者は環境の急激な変化や周囲の言動の影響を受けやすく、判断を誤った場合、精神的に動揺し、混乱したりします。また、認知症の初期段階では、不安や戸惑いが多く現れます。

病状が進んでいくと、イライラや焦りが増し、周囲に対する怒り、不快感が激しくなります。この時期には、徘徊、妄想、幻想、異食、暴言、暴力といった「周辺症状」が現れます。

認知症の後期になると、自発性が失われ、発語などの身体活動がほとんど見られなくなります。決して何も感じていないのではなく、他人に対して反応を表さなくなるのです。

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2013.03.02 22:30 | 高齢者の心理 | トラックバック(-) | コメント(0) |
高齢者に対するイメージとはどんなものがあるでしょうか。

頑固、わがまま、寂しがりや、などが思い浮かぶのではないでしょうか。

高齢者を介護する場合、高齢者と信頼関係を築き、よりよいサービスを提供するためには、高齢者の心理状態を理解することが不可欠となります。大まかに分類すると、人生経験、老化現象、知的能力の変化の3つに大別できます。ひとつひとつ、ご説明します。

1.人生経験からの理解
高齢者には、多くの高齢者に共通する心理状況と、ひとりひとり違う個人別の心理状況とが存在します。その両方が関連し合って、高齢者の心理や行動が形成されます。従って、現在の状況だけでなく、過去を把握し、未来は見据え、総合的に理解することが大切です。

1)否定的心理背景 「衰退と喪失」
高齢期に入ると、衰退と喪失を体験します。例えば、子供の自立、定年退職、経済力低下、社会との交流機会の減少といった社会的衰退と喪失。また、配偶者の死、健康を損なうなど生理的な衰退と喪失です。

2)肯定的心理背景 「体験に裏付けからた自信」
これまで生きてきた人生で、到達感、成就感、充実感などの肯定的な感情と自信があります。さらに、思慮深さ、寛容さ、忍耐力、生活の知恵や技術といった豊富な経験から蓄積した能力やプラス思考を持ち合わせています。

3)時代背景と生活史
高齢者の価値観や生活習慣は、それまでに受けた教育や生き抜いてきた社会情勢などの影響を受けて形成されます。よって、高齢者の育った時代背景と生活史を把握することにより、初めて現在の姿を理解することが可能となります。

2.老化現象
1)身体面の変化
・形態 体重と身長 以前に比べて減少
    関節    骨粗しょう症や変形性関節炎による脊椎や関節が変化
    頭髪、歯  以前に比べ脱落
    皮膚    乾燥し弾性を失う。色素沈着、白斑、血管硬化が生じる

・機能 環境適応能力 以前に比べ低下
    生体抵抗力  以前に比べ低下
    視力、聴力  以前に比べ低下
    記銘力、学習力 新しい記憶の欠落、記銘力低下が見受けられる
    一般に、視覚による記憶より、聴覚による記憶の方が困難。

・健康 同時に、複数の病気にかかりやすくなる
    病気に対する反応が鈍く、自覚症状も乏しい
    後遺症や機能障害が起きやすい
    病気で数日寝ただけでも、機能障害が生じやすい

2)社会面の変化
・一般的な社会的変化 社会人としての変化 職業上の役割の喪失
           経済生活上の変化 収入の減少
           家庭人としての変化 家庭内の主導権の移動

・変化への適応性の低下 突然の環境変化に適応できないことが多い

3)精神面の変化
・老いの自覚 老眼、難聴、白髪といった生理的老化現象
       神経痛、関節痛、白内障といった高齢期の慢性疾患
       気力、体力の減少、物忘れの増加といった身体機能の低下

・精神機能の特徴 若い頃に比べ、感情の変化が起きやすい
         情緒不安定、不安感の増加
         無気力、依存心の増加
         感情障害や性格の変化

3.知的能力の変化からの理解
1)知的能力の変化
高齢者は非言語性の能力や知能効率は落ちますが、言語性の能力や理解力の低下はわずかに過ぎないことが多い。また、加齢により能力が向上することもあります。一般に、新しいことを記憶することは不得手ですが、物事に対する理解力は深まっていきます。

2)知能レベルの判断
高齢期の知能に影響を及ぼす要因として、栄養状態、疾病、遺伝、性といった身体的な要因と教育、家庭環境、職業、地域などによる環境的要因があります。また、老年認知症として、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症とがあります。

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2013.03.02 21:13 | 高齢者の心理 | トラックバック(-) | コメント(0) |